働く職場の先輩や同僚から、引き抜きによる転職のオファーを受ける30代の方は意外と少なくありません。
先輩や同僚が独立したり新たな会社で働くため、「一緒に来ないか?」と引き抜きによる転職を誘ってくるのです。
引き抜きは、基本的に好条件を提示されることが多いため、転職するべきかと悩む方はかなり多い傾向にあります。
確かに、引き抜きによる転職は、年収アップやキャリアアップできるチャンスとはなり得ますが、リスクも知った上でどうするべきかを判断することが重要です。
そこで、30代で引き抜き転職をするメリットとリスクを解説していきます。
現在迷われている場合は、参考にしてみてください。
引き抜きでの転職は違法になる?
引き抜き転職のオファーを受ける30代の方は結構いるのですが、「違法なのでは?」と不安になる人もいます。
結論から言うと、引き抜きに応じて転職しても違法行為に該当しません。
日本国憲法 第二十二条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
日本国憲法 e-Gov法令検索
上述の通りで、日本国憲法で「職業選択の自由」が認められているため、引き抜き転職に応じても違法とはならないのです。
ただし、日本国憲法で認められているのは他社への転籍だけなので、以下のようなことには注意しなければいけません。
- 前職の顧客リストを持ち出す
- 職務上で知り得た情報を転職先で利用する
このようなケースは「守秘義務違反」となる恐れがあるので、損害賠償を問われる可能性があります。
そのため、引き抜き転職をする場合は前職で知り得た情報を悪用しないよう、注意することが重要です。
30代が引き抜き転職をするメリット
30代で引き抜き転職をすることに対し、どのようなメリットがあるものなのか。
例えば、一般的に以下のようなメリットを得られることが多いです。
- 年収が上がりやすい
- 転職活動の必要がない
- キャリアアップが期待できる
それぞれについて、詳しく説明をしていきます。
年収が上がりやすい
30代の方が引き抜きに応じ転職をする最大のメリットは、やはり年収アップできることです。
引き抜きは、求職者が転職サイトや企業のホームページを介して応募する転職とは違い、企業側から実力・経験・能力などを評価された上で行われます。
そのため、企業側が他社で働く人を引き抜こうとする場合、相応の待遇で迎える必要があるため高い年収を提示するわけです。
なお、引き抜き転職を受ける30代の方は、一般的に現在の年収の1.3倍~1.5倍の年収アップする額の給料を提示される傾向にあります。
転職活動の必要がない
転職をしたいとき、転職サイトや転職エージェントを利用して、転職活動を行うことが一般的です。
例えば、隙間時間に求人を探して応募し、書類選考や面接のステップを踏んで、内定が出れば転職することができます。
このとき、30代の転職は3カ月かかる傾向にあるので、非常に労力と手間がかかるわけです。
一方で、引き抜きはすでに応募する企業が決まっているため、わざわざ時間を割いて求人を探す必要がありません。
また、入社前提でのオファーなので、内定獲得に向けた応募書類を作成する必要はなく、堅苦しい採用面接もない場合がほとんどです。
そのため、隙間時間を利用しての求人探しや面接の度に会社を休む必要がなく、効率的に転職することができます。
キャリアアップが期待できる
引き抜きは、その人の経験や能力が認められてのオファーがほとんどです。
そのため、実力を発揮して会社に貢献すると、早い段階でキャリアアップできる可能性は高いといえます。
例えば、勤める会社に問題があって努力しても評価されなかったり、役職ポストがなくて昇進できない30代の方は少なくありません。
それに比べ、引き抜きだと入社後のキャリアアップを提示してくれることが多いです。
一般的な転職よりも優れた条件で入社できるので、かなりメリットは大きいといえるでしょう。
30代が引き抜き転職をするリスク
30代で引き抜きに応じ転職すると、上述でお伝えしたメリットが得られやすいです。
ただし、メリットだけではなくリスクも存在します。
例えば、以下のようなリスクです。
- 期待値が大きすぎる
- 労働条件が異なっている
- 人間関係のリスクが高い
詳しくは、以下で説明していきます。
期待値が大きすぎる
引き抜き先の企業は、引き抜く人材の実力や能力にかなり大きな期待を持っています。
このとき、仮に企業側が期待していたほどの実力や能力を発揮できなかった場合は、社内での風当たりが強くなる可能性が高いです。
そうなると、仕事はやりづらいですし、入社前に想定していた評価を得られず予定が狂ってしまうことも考えられます。
そのため、引き抜き転職に応じる際には、本当に自分が持つ実力や能力を発揮できる自信があるのかを、よく考えてから決めることが大切です。
労働条件が異なっている
「入社前に提示された労働条件と違う…」というのも、引き抜き転職に応じた30代の方に起こりやすいリスクです。
例えば、以下のように労働条件が異なっていることがあります。
- 提示されていた給料より低い!
- 聞いていた業務内容じゃない…
- 役職が上がるはずが平社員のまま…
- 休みを考慮してくれるはずが全くされない…
このように、事前に提示されていた労働条件と異なり、引き抜き転職をして望まない結果となることもあるのです。
人間関係のリスクが高い
引き抜きのオファーに応じて転職する30代の方は、職場での人間関係が悪くなる可能性もあります。
例えば、引き抜きによって転職してきた人材だと職場で知られていると、周囲はあなたのことを高い能力や実力のある人だと認識します。
つまり、仕事で大きな成果を出してくれる人だと期待するのですが、もし少しでも失敗すると落胆の度合いも激しいです。
それだけでなく、「実はそれほど実力はないのでは?」と疑われる可能性もあり、人間関係が悪くなることもあります。
30代で引き抜き転職をする前に把握しておくべきこと
ここまでに、30代で引き抜き転職をするメリットとリスクについてお伝えしてきました。
このとき、引き抜き転職に応じる前に把握しておくべきことがあります。
具体的には以下の3つです。
- 企業調査をしっかりしておく
- 合意した労働条件の書面をもらい保存しておく
- 断りたい場合は早めに連絡する
それぞれについて確認をしていきましょう。
企業調査をしっかりしておく
引き抜きのオファーを受けた30代の方は、転職前に企業調査をしっかりしておくことが重要です。
例えば、以下の内容を調べて事前に把握しておきます。
- 企業規模
- 仕事内容
- 就業場所
- 賃金・賞与
- 休日・休暇
- 労働時間
引き抜き転職で多いのが、魅力的な労働条件を鵜呑みにしてよく確認せずに転職してしまうことです。
そして、いざ入社すると事前に聞いていた労働条件と大きく異なり、転職して後悔するケースがよくあります。
そのため、企業調査をしっかり行い、提示された労働条件に誤りがないかを確認してから転職すると安心です。
合意した労働条件の書面をもらい保存しておく
引き抜き転職に応じた30代の方の中には、口約束だけで決めてしまったという人もいます。
このとき、面接や入社時に提示された労働条件が、口約束のときと違っていたという方は意外と多いようです。
ただ、口約束と実際の労働条件が異なっているケースはよくあるので、やはり形に残るものをもらい証明できるようにしておかなければいけません。
具体的には、「労働条件に合意する場合は書面をもらい保存」しておくことが大切です。
書面があれば、「あのとき聞いた話と違う!」などのトラブルに遭うことを防げるので、あなたが合意に達した労働条件で入社することができます。
入社前と入社後のミスマッチを防ぐために大切なことなので、合意した労働条件を証明することができるように、書面をもらい保存しておくと安心です。
断りたい場合は早めに連絡する
引き抜きのオファーをもらい転職をする方もいますが、中には断りたいと悩む30代の方もいます。
ことのき、引き抜きのオファーを断りたい場合は早めに連絡するようにしましょう。
なぜなら、断りの連絡が長引くにつれて断りにくくなり、相手に迷惑をかけることに繋がる可能性もあるからです。
そのため、引き抜きのオファーを断りたいときは、決心がついた段階で直接対面で断る、もしくは断りの電話を入れると理解してもらうことができます。
なお、「せっかくの引き抜きオファーを断るのは失礼な気がする…」と悩む方もいますが、特に失礼とならないので気にしすぎる必要はありません。
転職はあなたの人生を大きく左右する問題なので、曖昧な返事をしたり応じてしまうと後悔する確率が高いです。
なので、オファーを断りたい場合は早めに連絡をすると、相手の方にそれほど迷惑をかけることなく理解してもらえます。
引き抜き転職に不安を感じる30代は転職エージェントを活用する
引き抜きで転職するリスクがあると感じて心配な30代の方は、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。
豊富な経験と知識を持つキャリアアドバイザーが、引き抜きオファーに対しての対応方法や、同業種での年収相場を調べてくれます。
引き抜き転職をするということは、結局のところ自力で転職活動をして転職する方法と同じなので、自己責任のリスクが伴います。
なので、仮に給料や待遇面が事前に提示されていた内容と異なり失敗したと思っても、「自分の確認不足だった…」としかならないのです。
このとき、転職エージェントに相談すると、適切な企業調査の仕方や労働条件の交渉方法をアドバイスしてくれますし、知りたい情報を調査してもらうこともできます。
このようなアドバイスを受けることで、「引き抜きオファーに応じて転職しても安心なのか?」の判断をすることができるはずです。
そのため、引き抜きのオファーを受けるかを悩まれているのであれば、転職後のリスクを極力抑えるためにも、転職エージェントへの相談も検討してみてください。
転職活動を行う30代の方の多くは転職エージェントを利用しています。
もし一人で転職活動を行うと、求人探し、履歴書の作成、面接対策、労働条件の交渉など、転職に関わる全てを自分で行う必要があるからです。
それに比べ、転職エージェントを利用すると、キャリアや転職活動に関する専門的な知識と豊富な経験を持つキャリアアドバイザーが全面的にサポートしてくれます。
なお、30代の方に適した転職エージェントの情報を以下にまとめているので参考にしてみてください。