自らの実力や意欲を最大限に発揮できる場所を求め、30代からの転職が注目を集めています。
そんな中、中卒であることが転職のハードルと感じる方もいるでしょう。
しかし、現代では企業も新しい視点から人材を採用する傾向が強まっています。
また、学歴不問の求人も増え、30代中卒の方も新しい職場での一歩を踏み出す可能性は決して低くありません。
実際に、私には中卒で働く30代の知人がいますが、2~3回ほど転職を成功させています。
この記事では、30代中卒の方が転職するための方法と注意点を解説していきます。
30代中卒は転職が難しい?
「中卒だと転職が難しそう…」と悩む30代の方は意外と多いのですが、実際のところどうなのでしょうか?
冒頭でもお伝えしましたが、中卒の30代の方でも転職をすることはできます。
しかし、高卒や大卒と比べてしまうと、転職のハードルが高くなるのが実情です。
例えば、以下のようなことが関係し、中卒者の転職へのハードルが高いと言われています。
- 中卒向けの求人が少ない
- 学歴が関係して応募できない
- 中卒者に悪いイメージを持つ人がいる
それぞれについて、以下でご説明をしていきます。
中卒向けの求人が少ない
中卒者 | 高卒者 | |
求人数 | 1,150 | 約386,000 |
内定率 | 84.7% | 99.1% |
参考:令和2年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」
上記表ですが、厚生労働省がハローワークの求人における、中卒と高卒の新卒者を対象とした求職・就職内定状況をまとめた調査結果です。
調査結果を確認すると、高卒者は約386,000ほどの求人があるのに対し、中卒者になると1,150しか求人が存在しません。
そのため、高卒者と比べてしまうと、どうしても中卒者の選択肢は限られてしまうのです。
あくまで高校と中学校を卒業する生徒および、ハローワークの求人を対象とした結果ではありますが、これが中卒の転職が難しいと言われている理由の一つです。
学歴が関係して応募できない
転職サイトやハローワークで求人募集を確認すると、仕事内容や労働条件を確認することができます。
このとき、求人募集を行う企業の多くは、「応募条件」や「求める人材」を記載しています。
その理由は、最も適した人材を採用したいと考えるからです。
ここで問題となるのが、応募条件や求める人材の項目に、「高卒以上」や「大卒以上」と記載している企業が多いことです。
つまり、中卒のあなたが気になる求人を見つけて応募したくても、高卒以上や大卒以上と記載されていると応募自体ができません。
厳密に言うと応募はできるのですが、応募しても「書類選考で落ちる」もしくは「返事がない」のどちらかになる場合が多いです。
これはすでに私が過去に経験しており、専門卒や大卒以上の求人に何社か応募しましたが、いずれも書類選考を通過することはありませんでした。
このように、最終学歴が関係して中卒の30代の方は転職が難しいと言われています。
中卒者に悪いイメージを持つ人がいる
中卒の転職が難しいと言われている理由には、中卒者に対し悪いイメージを持つ採用担当者がいることも関係しています。
例えば、転職活動をする中卒者に対して以下のようなイメージを思い浮かべるのです。
- 採用してもすぐに辞めてしまいそう
- 仕事へのモチベーションが低そう
- 口答えや無視をして言うことを聞かなさそう
- 人間性に問題があって中卒なのかもしれない
実際には違うにしても、中卒者に対してこのようなイメージを持つ採用担当者は少なくありません。
そのため、転職活動をする30代中卒の方は、内定の獲得が難しいと言われています。
30代中卒が転職で応募可能な学歴不問の求人とは
上述の通りで、30代中卒の方でも転職は可能ですが、内定を獲得するまでのハードルが高い問題もあります。
しかし、転職先として応募可能な「学歴不問」の求人へ応募すると、内定を獲得することもできるでしょう。
学歴不問について簡単にご説明すると、「学歴を一切問わずに応募可・採用可」を応募条件とする求人のことです。
一般的に、求人募集を行う企業は求める人材に対して、「高卒以上」「専門卒以上」「大卒以上」などの条件を記載します。
このとき、中卒は応募をすることはできませんが、中卒以上、あるいは学歴不問の場合は中卒でも応募可能です。
なお、学歴による応募条件には以下のようなものがあります。
応募可・採用可 | 応募不可・採用不可 | |
---|---|---|
学歴不問 | 中卒、高卒、専門卒、大卒、大学院卒 | なし |
中卒以上 | 中卒、高卒、専門卒、大卒、大学院卒 | なし |
高卒以上 | 高卒、専門卒、大卒、大学院卒 | 中卒 |
専門卒以上 | 専門卒、大卒、大学院卒 | 中卒、高卒 |
大卒以上 | 大卒、大学院卒 | 中卒、高卒、専門卒 |
大学院以上 | 大学院卒 | 大学院卒 |
このように、求人票に求める人材の条件が学歴として記載されている場合、応じた学歴を収めていなければ基本的に応募はできずに採用もされません。
すでにお伝えしましたが、私が転職活動をしていた際に専門卒や大卒以上の求人へ応募をしたことがありました。
このとき、応募した求人先の書類選考を通過することはなく、結果の返事すらないこともあったのです。
つまり、学歴の応募資格を満たしていない場合は、個人で応募をしても書類選考の時点で落ちる傾向にあります。
学歴不問の求人にも注意点がある
学歴不問の条件を記載した求人票はたくさんありますが、必ずしも応募できる条件を満たしているとは限りません。
実は応募条件が学歴不問でも、「PCスキルをお持ちの方」「1年以上経験のある方」「普通免許必須」などの条件が付け加えられていることがあります。
そのため、中卒者に限らず、学歴不問でも応募や採用が難しいケースがあることも理解しておかなければいけません。
30代中卒が転職先として応募しやすい業界・職種
30代中卒の方でも応募できる求人は、学歴不問の条件を付けくわえることで意外とたくさんあります。
さらに、「年齢不問」や「未経験者歓迎」などが記載されていると、より転職先の幅を広げることが可能です。
なお、以下で求人応募をして内定の獲得が期待できる業界・職種をご紹介します。
介護職
日本は超高齢化社会に該当し、今後もこの影響が続くことが予想されているため、介護職(介護士)は非常に人手不足の状況にあります。
こうしたことが関係し、介護職は「学歴不問」「年齢不問」でたくさん求人募集があり、30代中卒の方でも転職を目的として応募することが可能です。
介護職は主に介護施設で働くこととなり、業務内容は多岐にわたります。
具体的には、「身体介護」と「生活支援」の2つに分けることができ、身体介護は食事、移動、入浴、更衣、排泄介助などがあります。
生活支援は掃除、洗濯、調理など、利用者の身体に触れないで身の回りの世話をする業務です。
なお、介護職は学歴不問の年齢不問でも転職は可能ですが、早い段階で「介護職員初任者研修」を取得することを推奨されます。
介護職員初任者研修を取得していなければ身体介護ができないと定められているため、介護職ではほぼ必須となる資格です。
受験資格は特に定められていないことから誰もが受講でき、合格率も非常に高いためそれほど心配する必要はありません。
介護職は大変ながらも、「介護福祉士」「ケアマネジャー」などの資格を随時取得していくことで重宝され、給与アップできる魅力があります。
コールセンター
コールセンターはその名の通りの仕事になりますが、電話を通してお客様とやり取りをする業務です。
ただし、コールセンターとはいっても、その業務は「アウトバウンド」と「インバウンド」の2種類に分けられます。
アウトバウンドからご説明すると、顧客や見込みのある客に自ら電話を掛けて売り込む業務のことを指します。
例えば、自社が提供する商品やサービスを以前に申し込みしていただいたお客様や、新たに売り込むために新しいお客様に向けて積極的に電話を掛ける業務です。
そして、インバウンドは顧客から掛かってきた電話を受ける業務となります。
自社が提供する商品やサービスに対する問い合わせを対応する業務であるため、自ら電話を掛けることは基本的にありません。
ただ、どのような問い合わせが来るのかは顧客次第なため、自社が提供するサービスについて配付されるマニュアルに目を通し、勉強して知識を身につけておくことが重要です。
コールセンターの求人はとても多く、30代中卒の方でも転職先として応募することは可能です。
実際に知人がコールセンターで働いているのですが、意外と中卒者が多いとのこと。
仕事を通してビジネスマナー、トーク術、敬語などの基礎スキルを伸ばすことができるため、社会人としてのマナーを身につけることのできる魅力があります。
IT業界
意外と思われる方も多いのですが、IT業界も学歴不問で応募することができる業界です。
IT業界は、インターネットの普及に伴い市場規模が拡大し続けているため、慢性的な人手不足に陥っています。
そのため、学歴不問や未経験者歓迎などの条件で求人募集をしている企業が多く、30代中卒の方も転職先として選ぶことは少なくありません。
IT業界の選ぶ職種によって業務内容は大きく異なりますが、基本的にプログラムやプログラミングのスキルは必要です。
ですが、学歴不問、未経験者歓迎の求人に応募をすることで、知識や資格、スキル等なしの方でも、IT業界に精通したコンサルタントや従業員が研修を通して教育してくれるため心配ありません。
IT業界は忙しい業界にはなるのですが、希少価値の高いスキルや専門性のスキルを磨くことで、それに応じて年収アップが期待できます。
努力次第では、年収500万円以上を目指すことも難しくないため、IT業界に挑戦したい場合はおすすめです。
なお、IT業界は市場規模が拡大し続けていることから将来性があり、一定の実務経験やスキルを得た場合はさらに高い給料を提示してくれる企業へ転職することも可能です。
常に人手不足の業界であるため、即戦力となる実務経験やスキルのある人は高い給料を提示しても歓迎されます。
建設業界
建設業界には色々な仕事があり、建物の設計を行う頭脳労働の分野、現場で働く肉体労働の分野、電気工事や重機を操作する専門知識の分野などがあります。
この中でも、肉体労働の職種は学歴・年齢不問の未経験者歓迎の求人が多く、30代中卒の方でも転職先として応募可能です。
職種にもよりますが、基本的に建物の骨組みとなる鉄筋の組み立てや持ち運び、高所での足場組立、建物の塗装など、身体的に負担のかかる仕事が主となります。
力仕事となるため大変ではありますが、その分給料は高い傾向にあります。
なお、建設業界では様々な資格を必要とするため、会社が資格取得に向けた支援をしてくれることは珍しくありません。
例えば、フォークリフト運転技能者、玉掛作業者、車両系建設機械技能者、足場組立作業主任者など、様々な資格取得に向けた支援をしてくれることがあります。
そのため、現在無資格の30代中卒の方でも資格を取得できれば、スキルアップと給料アップができるでしょう。
営業職
営業職は会社の利益を上げるために、顧客に自社のサービスや商品を紹介して販売したり、情報を提供して契約を結ぶ仕事がメインの職種です。
具体的に、自社のサービスや商品を売り込むために顧客をリサーチし、大体の営業先を決めた段階で営業活動を開始。
アポイントを取るなどして顧客のもとへ足を運び、必要としているであろうサービスや商品を売る商談をします。
見積もりを提示したのち商談が成立すれば、サービスや商品の手配を行い、問題がないかを確認してから納品。
ここまでが営業職としての一連の作業です。
ただし、アフターフォローも営業職の重要な業務なので、商品やサービスを提供した後も不具合があれば迅速に対応しなければいけません。
ここまで行うことで、顧客との信頼関係を築くことができるとともに、仕事を通して評価を得ることができます。
そのため、営業職は経歴や学歴が必要と思われがちですが、意外と30代中卒の方でも転職しやすい職業です。
年齢・学歴不問や未経験者歓迎で求人募集をする企業もたくさんあるため、応募すると歓迎してくれる可能性は高いです。
なお、営業職は「行動力」と「セールストーク」が必要なので、そこさえ努力すれば高収入を目指せます。
飲食業
飲食業は人手不足に悩む業界の一つなので、年齢不問や学歴不問、未経験者歓迎などでの求人募集がたくさんあります。
そのため、飲食業は30代中卒の方でも転職することは十分可能です。
実際に未経験で飲食業へと転職する人は多く、正社員ではありませんが、定年退職されたシニア層の方も積極的に採用する企業は少なくありません。
なお、飲食業の仕事は主にホールやキッチンスタッフに分かれます。
例えば、ホールスタッフはお客様を席へ案内する、オーダーを取る、料理の提供および片付け、レジ対応などがあります。
キッチンスタッフは仕込みや調理をしたり、皿洗い、床掃除、包丁研ぎなどが主な仕事です。
担当する立場によって仕事内容は様々ですが、接客の基本や料理の提供の仕方を一度身につけると、他の職業でも応用しやすいです。
なので、将来的な働き方や目標を持ちやすい仕事でもあります。
工場作業員
私も働いたことがありますが、工場作業員は学歴や年齢に関係なく、30代中卒の方でも転職しやすい仕事です。
工場での仕事は基本的にマニュアル化されており、また現場社員の指導のもと一から作業手順を教えてくれるため、未経験でも問題ありません。
実際に、私が勤めていた会社の仕事を請け負う協力会社では、不動産業や本屋さん、スーパーの社員など、全く関係のない業界から転職されてきた人がたくさんいました。
また、年齢層もバラバラで、20代の人もいれば50代の転職者もいたくらいです。
なお、工場作業員の仕事内容は様々で、業務の種類によって内容は大きく異なります。
例えば、食品の製造や自動車の部品組み立て、ライン作業や製品検査などの仕事があります。
働く工場によっては資格の取得に向けた支援をしてくれるため、スキルアップや給与アップも目指すことも可能です。
30代中卒の方が転職活動で注意しておくべきこと
ここまでお伝えした通り、30代中卒の方でも転職できる業界や職種はあります。
そのため、転職を希望するのであれば中卒でも問題ありません。
ただし、ここで注意しておくべきことは、労働環境の悪い求人に応募をして再転職してしまわないことです。
転職活動をする際には、求人サイトやハローワークを利用して求人を探すことができます。
このとき、求人票の情報を確認して応募するかを決めることになりますが、正直なところ素人に優れた企業の求人なのかを判断することはできません。
もし誤った求人に応募をして働き出すと、「労働環境の悪い職場だった…」と後悔することになるのです。
実は私もその一人で、30代で4回の転職経験があるのですが、うち3回は労働環境の悪い職場へ転職してしまい、短期間で退職を繰り返してしまいました。
なお、短期間で退職や転職を繰り返すと職歴にキズがつくだけでなく、今後の転職活動にも大きな影響を及ぼします。
特に、中卒は社会的にも大きなハンデと考える企業が多く、また年齢的にも30代であれば転職活動が難航しがちです。
そのため、一人で転職活動をするのではなく、転職エージェントを活用することも重要です。
中卒の30代は転職エージェントを活用する
転職エージェントとは、人材紹介サービスの一つであり、利用することで転職活動や悩みの解決に向けたサポートをしてくれます。
社会人経験があると中卒でも登録申請ができ、あなたに合わせた求人の紹介を受けることができます。
ここでのポイントは、紹介を受けることのできる求人は、ほとんど転職エージェントが独自に保有する「非公開求人」だということです。
非公開求人とは、「他社に求人募集をしている事実を知られたくない」「条件に合う人材を採用したい」と考える企業が、転職エージェントを通して人材募集を行う求人票のことです。
そのため、求人サイトやハローワークなどには出回ることがなく、転職エージェントを通してしか応募ができません。
転職エージェントが保有する非公開求人の多くは、在籍する職員が一つ一つ審査をしているため、優れた企業の求人が多いメリットがあります。
このとき、優れた求人の紹介を受けることができるだけでなく、求人に応募をすると欠かすことのできない履歴書・職務経歴書の書き方をサポートしてくれたり、模擬面接を実施して注意すべきポイントを指摘してくれます。
こうしたサポートを受けつつ転職活動をすると、中卒の30代の方でも転職成功率を上げることができるでしょう。
30代中卒の方は転職先で経験を積みスキルを身につける
最終学歴が中卒であり、なおかつ年齢が30代ともなると「転職は難しい…」と考える人は少なくありません。
しかし、学歴不問、年齢不問、未経験者歓迎などの条件を指定して求人を探すと、意外に多くの求人募集を行なっている企業があります。
そのため、中卒であっても転職ができないわけではありません。
ただし、ここで気を付けておくべきことは、一人で転職活動をしないことです。
求人サイトやハローワークを利用して仕事を探す人もいますが、求人情報のみで「自分に合う仕事なのか」「労働条件に問題はないか」などを把握することは非常に難しいです。
もし労働環境の悪い職場へ転職してしまうと、最悪すぐに退職してしまうことにつながります。
こうしたことは普通に起こり得るため、転職活動をする際には転職エージェントを活用してみてください。
そして紹介された求人を比較し、最も自分に合う企業へ応募すると、満足できる転職ができることでしょう。
なお、転職が成功した際には新しい職場で仕事を覚えつつ、経験やスキルを身につけ成長していくといいです。
転職活動を行う30代の方の多くは転職エージェントを利用しています。
もし一人で転職活動を行うと、求人探し、履歴書の作成、面接対策、労働条件の交渉など、転職に関わる全てを自分で行う必要があるからです。
それに比べ、転職エージェントを利用すると、キャリアや転職活動に関する専門的な知識と豊富な経験を持つキャリアアドバイザーが全面的にサポートしてくれます。
なお、30代の方に適した転職エージェントの情報を以下にまとめているので参考にしてみてください。